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うっとり。せつない。王道だ。もし王道が“今までどおりの得意技”だとしたら、DCTのこの曲は「進化する王道」と言いたい。
せつないメロディーと詩に、今のグルーヴがうっとりと息づいている。
制作は『24/7』と同時。世紀をまたぐ2枚のシングルを出そうという計画だった。
どちらを先にリリースするか悩んだという。順番は、吉田美和のカンが決めた。
「『24/7』がこんなに10代、20代の人たちに評判がいいとは思わなかった。で、こんなにクラブ系だって言われるなんて、これっぽっちも思ってなかった」と中村正人。
中村は逆の順番を考えていたから、嬉しい誤算だったと言う。
そして、『24/7』を聴いてから『好きだけじゃだめなんだ』を聴いた人々はどう思うのだろう。
いつもの王道に戻ったのではない。
常にアグレッシヴな音作りをしてきたDCTは、アルバム『SING OR DIE』からエンジニアをローランド・ヘリントンに変えた。
『24/7』 はその成果のひとつだが、この姿勢が王道を進化させたのだ。『好きだけじゃだめなんだ』のリズム・トラックはグルーヴが力強く弾けて、大きくハミ出している。『24/7』でシンクロした新しい世代のビート感と同じものが、『好きだけじゃだめなんだ』にも盛り込まれている。
「レコーディングの日の朝に突然やってきた」と吉田が言う詩は、どうだろう。西川は「DCTの歌に出てくる女の子の王道だと思う」と語る。「♪女の子同士さえも うらやむくらいにすてきなひと そんなひと選んだあなたを やっぱり好きだよ♪っていう部分がいいと思った。好きだけじゃだめなんだって気が付いた主人公は、もうそこから一歩進んで、愛に達している。彼女は、好きだけじゃなくて、彼を愛している。で、生涯の恋人に繋がっていくわけですよ」と中村はさらに嬉しそう。
20世紀最後のシングル『24/7』で新しい愛のリアリティを提示したDCTは、21世紀最初のシングルで愛への進化の瞬間を捉えた。ずっとポジティブに愛を歌ってきたDCTは、この2枚のシングルで光と影のコントラストをさらに深める。そこにはグルーヴや言葉のリアリティを真剣に追求してきた彼らの最も美しい姿がある。
クラブで踊って、快い疲れの中で一歩外に出たら、月の光がキラキラと降ってきた。そんなイメージが浮かんでくるのは、『好きだけじゃだめなんだ』の不思議なイントロから来ているのかもしれない。このシングル、隅から隅まで、王道の進化形です!
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