テレパス ライナーノーツ 試聴プレビュー

感受性と好奇心と情熱と表現力…そのすべてを持ち合わせ、華奢な身体からはみ出んばかりのエネルギーを発し続けているシンガーソングライター、LOVE。自らの音楽で何かを変えようと“本気で”考えている、人間的な魅力溢れるアーティストだ。

彼女は「私がいちばん届けたいと思っているのは、ライブハウスに来れなくて部屋でじっとしているような人たち」と言う。そのために、自らの想いを様々な形の音楽にしてきた。 時には毎日の生活や今までの人生で感じてきた疑問や怒りをきっかけにして鋭い言葉を綴り、時には聴く者の感情を無意識的に高ぶらせるようなサウンドを奏で、時には音楽的な探究心と表現力を駆使して誰も見たことのない情景を描いてきた。

要するにとても欲張りなアーティストなのだ。音楽で人を変えたいし、音楽で世の中を変えたいし、音楽を通じて自ら成長したいし、何より音楽を心から楽しみたい。彼女が今までリリースしてきた作品を振り返ると、そんな彼女の誠実な(そして欲張りな)アーティストとしての姿勢が伺える。

2009年1月にリリースした2ndフルアルバム『Confetti Love Songs』は、そういうLOVEの“核”が詰め込まれた作品だった。暗い話題が多い現代というステージに立ち、希望が無いからこそ希望を見いだすための歌を歌う。そ]の名の通り彼女は常に“愛”を歌ってきたのだが、彼女の歌は世の中に溢れているラブソングとはずいぶん趣きが違う。彼女は現実から決して目を背けない。目を背けないので、彼女の音楽には痛みが伴う。痛みが伴う音楽は説得力を持つ。だからこそ彼女の歌は信頼できるのだ。

そんな全方位的でエネルギッシュなシンガーソングライター・LOVEに、アーティストとして成長する3つのきっかけが訪れた。

ひとつ目のきっかけは、5thシングル『STAY』からプロデューサーを迎えたということ。「ひらめきの回路が増えたようなもので、もう1ステップ先に行ける気がしたんですよ。 “なんでやねん!”っていう怒りや疑問のまま歌うより “人間だからそういうこともあるよね。でももっと大事なことがあるはずだよね”って思いながら歌った方が込められるエネルギーがいっぱいあったんです」とLOVEは言う。 ひとつの物事に純粋な心で向き合うが故に時として熱くなりすぎたこともしばしばあった。それは彼女の美点のひとつだが、そんな彼女に別の視点を与えるきっかけになったのがプロデューサーとの制作作業だった。

2つ目のきっかけ。それは、ライブだけではなく彼女自身がシンパシーを感じる様々な職業の人を招いてトークも行うという自主企画月イチライブ“LOVE・YA・DAY”の開催。ここで出会った様々な人たちの“人生”と“愛の形”に触れることにより、彼女はたくさんの刺激を受けてアーティストとしてより深い表現を知ることとなる。

そして3つめのきっかけは、この4月からスタートしたラジオ番組 TOKYO FM『LOVE CONNECTION』のパーソナリティという仕事。これについて、LOVEは「物事の伝え方や人とのコミュニケーションの方法、そういったところで別のバージョンが自分の中で生まれて来ているんです。今までは“みんなのことを受け止めます”という気持ちで歌ってきたけど、ラジオは違うんですよ。“受け止めますね!”なんて言ってる場合じゃなくて、私はみんなが受け止めやすい言葉を発しないとあかんねんなって」と言う。

LOVEの最大の魅力のひとつは、その純粋性だ。生まれ持った純粋性が、アーティストとしての感受性と好奇心と情熱と表現力の源となっている。 デビュー2年目まではその純粋性が指し示すままに音楽を創造してきた彼女だが、デビュー3年目を迎えた今、様々な出会いを糧に彼女は大きな成長を遂げた。

そういったことを経て発表される6thシングル『テレパス』。同曲は、「実は2年くらい前に作り始めたんです。デモの段階でなんか特別な感じがしていて、何回も何回もサビを作り直した。でも納得いくモノが全然できなくて。その間に4thシングル『君は僕のセンユウ』を作り、5thシングル『STAY』を作り、今まで以上に人と仕事を共有して作る拡がりを知ったんですよね。そこで「テレパス」をアレンジャーさんと一緒にもう1度作ってみたんですよ。そしたらメロディがフワッと花開いた感じになった」と自身が言うように、アーティストとして歩んできた今のLOVEだからこそ形にできた曲だ。

「テレパス」を初めて聴いたとき、今までのLOVEとはやや違う印象を受けた。リズミカルかつ流麗に流れていくサウンドはもちろん今までの延長線上だが、以前のような溢れんばかりの熱量やメッセージが詰め込まれているわけではない。ただ、LOVEがずっとやりたかったことがこの曲で歌われていた。同曲でLOVEは“ため息が昇ってく 夜空を見上げたとき あなたが見つける月になりたい”、“もしも人ごみの中 道を失っても あなたを照らせる月になりたい”と歌っている。

LOVEは言う。「今思うと、私は音楽だけじゃなくてラジオをやることもそうだし、アーティスト以外の部分で人と話したり“愛”について考える機会を設けたり、なんやかんややってきたんですよね。歌詞でもはみ出ている部分もあったりして。そういう部分を全部総括できた曲です。私も含めて、みんな昼間は忙しく仕事をしたり人と会ったりして、色々と消化しきれない想いとかを家に持って帰ることもありますよね。そういうモノは放っといたらえらいことになるような気持ちだったりもする。でも家に持って帰ってきて、夜に月を見ながらポッと素直にため息を付けたりする瞬間があって。ずっと前から、私はそういうところに射し込む曲を作りたかったんです」と。

前述したように、この曲からはLOVEが持つ“熱さ”や“メッセージ”を感じたりはしない。だけど、絶対に損なわれることの無い、純度が高くて透明度の高いLOVEの“想い”の存在を強く感じるはずだ。

色んな人と出会って色んな感情に触れ、人間的に成長してきた今現在の “LOVEそのもの”が投影された新曲「テレパス」。 LOVEにとって、そして我々リスナーにとって、とても大切な曲が完成した。

JUNGLE LIFE 山中毅